フォローショットとドローショット
フォローショットとドローショット

 

よくビギナー同士がビリヤードに行くと、少し撞いたことのある方が、初めてビリヤードをする人に「手球の真ん中を撞くと、的球に当たったあとストップし、上を撞くと当たったあと手球も前に進む。下を撞いたときは手球が的球に当たったあとバックする。」という指導をしている光景を目にします。

これは間違いとは言いませんが正しい指導とはいえません。

手球の中心を撞いても、ストップショットとするには手球が無回転の状態で、的球に100%の厚みで当たらなくてはいけません。それ以外は例え手球の中心を正確に撞いても手球をその場でストップさせるのは不可能です。
そもそも実践でストップショットを撞く場合に、正確に中心撞点を撞くことは殆どありません。

また、手球の中心や下を撞いても、的球に当たったあと手球を前進させることは出来ます。
実際にフォローショットを撞くために手球の下を撞くことだってあります。

まあ、上を撞くと前進するというのはほぼ正解ですが。
(実際には、ある条件においてフォローショットを撞くことによって穴前の的球をカットでポケットしながらクッション際に手球を停止させる"押し殺し"というショットもあります。)

フォローショット(的球に当たったあと手球が前進する)やドローショット(的球に当たったあと手球がバックする)、またストップショットにしても、肝心なのは的球に当たったときの手球がどういう回転をしているかで、それを知らなければ手球の動きをコントロールすることは出来ません。

ちなみによく聞く"バックショット"という言葉は存在しません。正確には"ドローショット"です。

ここでは手球の縦方向の中心線上を正確に撞くことで縦方向の回転のみを前提に話を進めます。手球の横方向の回転については「ヒネリ」の項で後述します。

Pic00を見てください。
通常ストップショットを撞くときの撞点(手球をキューで撞くポイント)が真ん中の中心撞点です。そこを基準に手球にフォローの回転(前方回転)を与えるには中心より上を、ドローの回転(後方回転)を与えるには中心より下の撞点を撞きます。

順を追って説明していきましょう。
まず中心撞点を撞いた場合。
Pic01を見てください。

正確に中心点を撞き出された手球は最初は無回転の状態でラシャの上を滑るように前進していきます。 その状態で、100%の厚みで的球に当たれば手球がその場所でストップします。もし的球と手球が角度を持って当たると、手球はその場でストップせずに的球の進行方向に対して90°の角度に移動します。
つまり、手球の中心を撞いたからといって、必ず手球がその場で止まるということはないのです。
また、最初は無回転で撞き出された手球も、ラシャとの摩擦の影響により進行方向側に回転が加わります。
この状態はフォローショットと同じ状態なので、的球に100%の厚みで当たったとしても、的球を追うように手球も前方へ進んで行きます。
この回転がいつ変化するかは、ラシャや手球の状態や撞き出した力加減等によって変わってきます。
Pic02がフォローショットです。
手球の中心点より上を撞き出すことではじめから手球に前方回転を与えるショットです。
この状態で的球に当たった場合、手球は的球を追うように前方へ進んで行きます。
フォローショットの回転は基本的にラシャとの摩擦によって与えられる回転と同じ方向なので、回転の方向が変わることはありません。
Pic03がドローショットです。
手球の中心より下を撞き出された手球は進行方向とは逆の回転を与えられ、後方に空回りした状態で前進していきます。
この状態で的球に当たった場合手球はその場からバックしてきます。
またドローショットの場合もラシャとの摩擦により、最初は後方回転だったものが、いずれ無回転になりその後、前方回転へと変化します。

このように例えドローショットを撞こうと思っていても的球に当たる時点での回転を計算に入れて撞き出さないと全く逆のフォローショットになってしまったりするわけです。

つまりフォローショットやドローショットで大切なのは、手球の上を撞くか下を撞くかというより、いかに手球が的球に当たるときの回転を調整するかということです。

実戦ではこの現象を利用して、ストップショットを撞く場合は殆どが中心撞点ではなくドローの撞点をついて、的球に当たるときに無回転で当たるようにしていたり、ドローの撞点を撞きながらフォローショットにしたりします。

この回転を調整するにはやはり経験と正しい知識がないと出来るものではありません。
それだけに、わたしが全く初めてビリヤードをする人やそれに近い人に教えるときは「上を撞けば・・下を撞けば・・」 といったことは教えずに中心撞点を正確に撞くことを最優先させます。(聞かれれば知識として教えることはありますが)まずは手球の中心を正確に撞くことが出来ないと、手球の動きを把握することが出来ないからです。

まずは全てのショットの基本は中心撞点であることを意識しましょう。

Pic04が実際に各ショットでの的球に当たった後の手球がとる軌道の例です。

このように的球に対して角度を持って当たると、フォローとドローの回転では手球は一旦カーブを描くように外に回り込みながら前進あるいは後進します。

この軌道は的球と手球の角度やショットの強さ等、また回転のかかり具合によっても変わってきます。

どういう回転が掛かっているときにどういう軌道を描くかは、自分で経験して覚えていくしかありません。
ただし、はっきりと前進するとか後進すると感じられるのは的球と手球が厚めの場合(直線に近い角度)で的球と手球が薄い(角度が直角に近い)場合は手球が走るコースの調整程度の動きになりますが、それだけでも手球のコースを変えてスクラッチ(手球がポケットに落ちてしまう)を避けるなど、上下の撞点はゲーム中頻繁に使います。
また手球の回転によってクッションに当たった時の反射角にも影響します。

その最たるものが、後述する「ヒネリ」というものですが、上下の撞点や力加減によっても反射角が変わってしまいます。
空クッションから的球を狙う場合など、こういったクッションの角度も計算に入れなければなりません。
手球がクッションに当たった場合、中心撞点を撞いて、手球が無回転の場合はクッションに当たった時の入射角と放射角は等しくなります。つまり入った角度と同じ角度で出て行きます。

フォロー回転のかかった手球の場合はこの放射角が狭くなり、ドロー回転の場合は放射角が広がります。
またこの放射角はショットの強さによっても変わってきます。ショットが強い場合は放射角が狭くなります。

ビリヤードで必要なポジションプレーを行なうには、どうしても手球をコントロールすることを考えなくてはいけません。しかし常に手球の中心を撞いているだけでは限界があります。

上級者はこのように手球の上や下の撞点に後述する「ヒネリ」という横方向の撞点を加えて、上下左右の様々な回転を与えることで、手球をコントロールしています。

初心者の場合はこの上下の撞点を覚えるだけでショットのバリエーションが格段に増えます。
ある程度のポジションはこの上下の撞点だけでも取ることが出来ますので、中心撞点で撞けるようになった後は、ぜひチャレンジしてみてください。

ただし、全ての基本は中心撞点ですので、まずは正確に手球の中心を撞けるようになることをお忘れなく。


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