ポジションプレー
ポジションプレー

 

上級者のナインボールなどを観ていると、実に簡単なショットの連続で9番までを落としきってしまうという場面がよくあります。これは決して運が良くてそういう状況になっているのではなく、上級者はそういう状況を自ら作っているのです。それが「ポジションプレー」です。

ポジションプレーはナインボールに限らず、ビリヤードの全てのゲームで必要になってくる発想であり技術です。少しでもこれが出来るようになれば、あるいは考えられるようになればビリヤードの楽しさが数倍アップします。というより、このポジションプレーが考えられるようになってきて初めてビリヤードのホントの楽しさがわかると言うべきでしょうか。

では、ポジションプレーとはいったいどういったものか。
ビリヤードを始めたばかりの初心者は、特にいきなりナインボールから始めた場合などは的球に当てることだけでも大変で、狙った的球をポケットに入れるのはとても難しいことだと思います。
それはあたり前なんです。ナインボールでは最初に当てなければならない的球が決まってます。的球までの距離が長かったり、時には他の的球なんかに隠れていたら当てること自体が大変で、ポケットに狙って入れることなど不可能のように思えてしまうでしょう。
だから、せめて近くて真っ直ぐ狙える場所に手球が来てくれれば、ポケットだって狙えるのに・・・

実は、もちろん程度差はありますが、上級者でも遠い的球をポケットしたり隠れている的球をポケットに狙う、また見えていてもポケット出来ないような配置が存在するのは同じなのです。

だからこそ必要になってくるのが今狙っている的球をポケットさせながら、次の的球を落としやすい場所に手球を運ぶという技術です。これが「ネクスト」や「出し」と言われるものです。

つまり常に次を考えて撞いていくのです。

もし全く何も考えずに撞いて、毎回的球と手球が近く簡単な配置ばかりが回ってくるとしたら、その人はかなりの強運です。ビリヤードなんかで使うのはもったいないのでラスベガスに行ってスロットでもやりましょう。

手球を次の的球へ出すとき、殆どの場合で的球と手球の配置にわざと角度をつけます。(これをフリといいいます)
真っ直ぐの配置では的球に当てた後、手球を自由に走らせることが困難になるからです。そこで手球に適度なフリをつけて、次のポジションへ運べるようにするのです。
例え相手がファールをしてフリーボールをもらっても、初心者のように的球に向けて真っ直ぐに手球を置くようなことはしません。かならず次を考えて故意にフリをつけます。(ただし、ストップショットでその場で手球を止めた方が後に繋がる場合は当然真っ直ぐに置いたりします。)
それとネクストを考えるときは、必ず次の的球だけではなく、2コ先の的球まで考えます。
なぜ次のプレーを考えるのに2コ先の的球を考えるのでしょう。それは下の図1を見てください。

図1:2番の的球が入れやすい位置は図のように
   扇方に広がっているが、 3番に出すことを考
   えると中央線より上に出さなくてはいけない。

図2:2番(青)、3番(赤)、4番(ピンク)までのつなぎ。

このように黄色の1番を入れながら青い2番をサイドポケットに狙えるポジションに手球を出すことを考えるとします。このとき比較的2番を落としやすいポジションがグレーの扇方の部分で、この中に手球を運べば2番を楽に落とすことが出来るのですが、このとき下の短クッション付近にある赤い3番を考えずに扇方の中央線より下に手球を出すと、2番をサイドポケットに入れた後の手球は基本的に図の上の方向にしか走らすことが出来ません。次に3番に手球を出すときはテーブルをぐるっと一周回してこなければならない。無理ではありませんが、手球を走らせる距離が長くなる分それだけ難易度が増し、手球を走らせるコース上に他の的球などの障害物が出てくる可能性も増えるわけです。そのため1番を入れる時点で、「2番が入れやすく、3番へ無理なく出せる場所」へ手球を運ぶことを考えると、扇形の中央線より上にポジションすることになります。

そして図2のように2番を撞くときはその後4番まで出せる位置へ手球を運ぶ。常に2コ先を考えてポジショニングを考えれば、結果的に9番まで繋がるということになるのです。

上級者が続けざまにポンポンと的球を落とすのは、偶然出来た配置を難球であろうが、隠れていようが、何でも落としていくのではなく、こうやって自分で落としやすい配置を作っているのです。
それがポジションプレーという発想です。

以前友人から聞いた話ですが、その友人の知り合いでA級の人(アマチュアで一番上のクラス)がビギナーに頼まれて相撞きをしたときに、「これだけ運良く簡単な球が回ってきたら誰だって勝てるよな」と言われてガックリきたことがあるそうです。このビギナー君、Aの人と一緒に撞く機会があって、その違いに何も気づかなかったのなら恐らくこの先も一生ビギナーで終わるでしょう。(というより一緒に撞いてくれと頼んでおいてその捨て台詞では人格的にどうかと思うが・・・)

ビリヤードで上級者が最高の技術使って撞いていると、手球を派手に走らせることも無く、一見実にイージーなショットの連続に見えることがよくあります。しかしそれは運が良いからそうなっているのでは無く、途中でミスをせずに的球を落としながら次の的球へと完璧に手球をコントロールしているからであって、一度でも自分で球を撞いたことのある人であれば、運が良いだけで毎回撞くたびに簡単な配置が回ってくることはありえないことがわかると思います。

逆に初心者ウケする台の中をぐるぐると手球を走らせるようなショットが毎回続くようでは、それはポジショニングにミスしてあがいているに過ぎないのです。(たまにそういうプレイが好きで大きく手球を走らせて遊んでいる人も居ますが・・・)

上級者はブレイク後の配置を見て既に9番までをどうやって取っていくかを頭の中で考えています。
後はそれを実現できるだけの技術が発揮できるかどうかです。

まだ正確に手球のコントロールが出来なくても、2コ先の的球を考えて、こっちの方向へ手球を出そうとか、常に手球をどう撞けば次が楽になるかを考えながら撞いてみてください。そうしているうちに、手球をどう撞けば、どういう結果が出るかが少しづつ身についてきます。そうなればビリヤードがやみつきになりますよ。


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