セイフティ
セイフティ

 

※セイフティの実例(動画)

ポケット・ビリヤードでは例えセーフショットを行っても、的球をポケット出来なければ攻撃権は対戦相手に移ります。しかし的球をポケットに入れ続けている限り相手は手も足も出なくなります。
つまり相手に簡単な配置を残して順番を代わってしまうと、その後相手に残りを取りきられてしまって自分はキューも握れず負けてしまうこともあるのです。
その為、自分が的球をポケットできる確立が低いといった場合にはムリにポケットを狙いにいかず、相手にとっても簡単には撞けないような配置が残るように撞いてあえて相手に順番を渡してしまうことがあります。
それがセイフティという戦略です。

とくにナインボールなどでは的球の数が少なく、上級者であれば一人で全ての的球を取りきってしまうことも珍しくありません。そんな人に簡単な配置を渡してしまえば、きっとそのゲーム中は自分にキューを握らせてくれることはないでしょう。

それにナインボールでは最初に当てなければいけない的球が決まっているので、それを利用して他の的球の後ろに手球を隠し、先球(最初に当てなければいけない的球)に直接当てられないようにする等、有効なセイフティのバリエーションも多く、またゲームに勝つには非常に重要な戦略であり技術です。

自分がポケットする確立が低い場合は、例え一旦相手に順番を渡すとしても相手がセーフショットを取るのが難しい配置を残して渡せば、相手がファールをしてフリーボールで自分に順番が戻ってきて、結果的に自分が有利にショット出来るようになるのです。

しかし、実際にセイフティを成功させるには大変高い技術が要求されます。
なにしろ手球と的球の両方を高いレベルでコントロールできなければ、ワザと他の的球で隠してしまうといったような、配置自体をコントロールすることは出来ません。
時には手球と的球の停止位置をピンポイントで予測し実際にそうなるように撞かなければならない場合などもあり、失敗すれば逆に相手に撞きやすい配置を残してしまうこともあります。

実際にやってみればわかりますが、有効なセイフティを残すのは単純に的球をポケットすることより遥かに難しい技術を要します。
しかしこのセイフティが高い確率で決められるようになってくれば、勝率はグンと上がってくるでしょう。

では実際にどういったことをするかをよく使われるセイフティの例で説明します。

例1

例えばナインボールで上図のような配置が回ってきたとします。
この場合、先球である1番をポケットすることはかなり厳しく(入れがない)、1番に当てながら他の的球をポケットするのも難しい配置です。
そこで闇雲に1番に当てるだけのショットをするのではなく、セイフティを考えます。

ここで注目するのが1番のすぐ側にある的球(上図の場合は2番)で、このような形の場合は比較的簡単に有効なセイフティがかけられます。(実際にみなさんもどういう風に撞くかを想像してみてから下の図を見てください。)

 

 

 

こういった場合に比較的簡単なのが、下図のようなセイフティで、実際にゲーム中にも良く使うパターンです。

こういった配置の場合、1番に対して少しだけフリをつけてストップショットぎみに撞くだけで、2番のウラに手球をぴたっと隠せます。
ここで注意するのが1番を撞くときの力加減で、上図のようにちゃんと手球から隠れる位置に運ばないといけません。強すぎると直接当てることが出来るばかりか、下のコーナーポケットに狙うことも出来る場合がありますので、十分注意しましょう。
このように手球を何かの的球のウラなどに隠してしまうセイフティを「キューボール・トラップ」と言います。


例2


この例のパターンも良く使います。
手球と的球の間に他の的球を挟み込むようにして隠してしまいます。
「 フック・セイフティ」と呼ばれるパターンです。

また必ず手球と的球を隠せるような配置ばかりが回ってくるとはかぎりません。

例3

上図のように先球(この場合は4番)を直接ポケット出来るコースが全て塞がれていて、他の的球をコンビやキャノンで狙うにも難度が高いといった場面ですが、手球と4番を隠してしまうにも都合の良い配置とは言えません。
しかし4番でただ闇雲にフロッグ狙いの強打をしたところで、適度に的球が散らばっていているために期待薄、また4番で入れを残してしまえば、上級者なら後を簡単に取り切ってしまう配置です。

こんな場合もただ闇雲に4番を撞くのではなく、下図のようにします。



このように手球にしろ的球にしろ、クッションタッチさせなくてもある程度それぞれの短クッションに近づけておけば、それだけで4番の入れはかなり難しくなります。
ただし、どちらもクッションに入らないと「ノークッション・ファール」を取られてしまうので、最低でもどちらかがクッションに入るような力加減で撞き出します。

こうしておけば、相手もセイフティがかけにくい配置だけに、再度自分にチャンスが回ってくる可能性もあります。

上級者にとっても遠く薄い配置というのは、ポケットするのが難しいのです。
こういったセイフティを「ディスタンス・セイフティ」と言います。

上記がセイフティの一例ですが、セイフティの発想には状況によって色々と考えられます。

また自分がセイフティをかけられた場合は一番有効な手段はなにか、空クッションからの入れはあるか、先球に入れはなくても先球に当てたあと簡単にポケットできる的球はないか、また先球に当てるとスクラッチしてしまうような落とし穴を仕掛けてないか、さらに先球に当てながらポケット出来なくても有効なセイフティを返す方法はないかなど、いろいろな可能性の中から一番成功する確立が高く有効なショットを選択して撞くようにします。


アンド・セイフティ(TWO WAY SHOT)

セイフティには上記のように、最初から相手にとって不利な配置を残して順番を渡すのが目的のものと、入れを狙いつつ外した時の保険としてセイフティをかける場合があります。

例えば、的球をポケットすることは可能だが、少し難しくて失敗するかもしれないという時に今狙っている的球を入れた後、次の的球が狙える場所に手球をポジションしながら、もし今狙っている的球を外してもその的球に対してはセイフティがかかるように撞くという発想で、こういったプレーを「アンド・セイフティ」(英語では TWO WAY SHOT)と言います。

ナインボールのように、次に当てるべき先球が決まっている場合は、常にこの発想を頭に置いておくとかなり勝率が高くなると思います。

これはあくまで保険という意味が強いため、優先されるのは次の的球に対してのポジションだと思います。
今狙っている的球が外れた場合に上手くセイフティーが掛かるように撞けていても、その的球が入った場合、次の的球への狙いが厳しくなっていては意味がありません。

また、そう都合良く撞ける配置ばかりとも限りませんが、常にそういった発想を頭に描きながらポジションを考えていけば、結果的にテーブル全体を広く見る習慣がつき、ポジションプレーの発想も豊かになってきます。

プロの試合などを見ていると対戦相手に楽な配置が渡るのは、ミスショットをした時ぐらいです。
プロの世界では、例え入れが見えていても常に「TWO WAY」を心がけ、入れの確立が低い場合は的確な「セイフティー」をかけて来るからです。
そのセイフティをどう返すかというリカバリーショットの能力もビリヤードでは重要な要素です。

たまに、セイフティをかけられて気分を悪くしているプレイヤーを見かけます。
中にはセイフティは卑怯だなんて言ってるプレイヤーもいますが、あまり良い態度とは言えません。

自分が難しい球を撞きたくないという気持ちはわかりますが、それで腹を立てているようでは懐が浅すぎます。
自分が困るようなセイフティを狙って撞いているということは、相手はナイスショットをしているということです。
「ナイスセイフティ」ぐらい言えるような余裕を持ちましょう。
(相手が狙っていなくて、偶然そうなった場合はイヤミなるので気をつけて・・・)

そういう人は自分で有効なセイフティを狙って撞いてみるとわかると思います。
有効なセイフティを決めるには高い技術と柔軟な発想が要求されます。
腹を立ててる暇があるなら、空クッションからポケット出来るように練習するとか、セイフティからさらに厳しいセイフティを返す技術を身に付ける努力をしましょう。

ビリヤードにおいて、セイフティは卑怯でもなんでもない正当性のある戦略であり、高い技術力を要するショットです。
つまりビリヤードにおける「ディフェンス」のショットです。
どんなスポーツでも相手に正当なディフェンスをされて怒る人はいませんよね。

そして、相手の「ディフェンス」をどうやって攻略しいくかもビリヤードの楽しみのひとつです。

試合などでなく遊びでゲームをしているときに、上級者が簡単なフリのイージーショットでもポケットするのが難しいといった初心者にセイフティをかける必要があるかどうかは別として、ある程度撞ける人同士であればあたりまえのようにセイフティを狙っていきます。

ただし、的球を素直にポケット出来て、次の的球へ出せる可能性もあるのにそれより難しいセイフティをわざわざ狙っていく必要はありません。
(相手が2ファールの場合などは、ワザとセイフティをかけて3ファールを誘うという戦法もありますが)
最初の内はあくまで的球を入れることを優先する、それでもどうしようも無い場合は、やけくそでフロッグ狙いのハードショットなんかをするよりも、意図のあるセイフティに挑戦するようにしましょう。

そうしていく内に自分のビリヤードの幅が広がっていくと思いますよ。

ただし、わたしと対戦する機会があったらあまり厳しいセイフティはカンベンしてください・・・(汗)

※セイフティの実例(動画)


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