POOL GAME
POOL GAME

 

ビリヤードの細かい歴史等についてはもっと詳しい専門サイトを探していただくこととして(汗)、日本では、1700年代に長崎の出島で描かれた絵画にオランダ人がポケット・ビリヤードを楽しむ姿が描かれているので、すでにその頃には日本にも存在していたようです。

一口にビリヤードと言ってもそのゲームの種類はたくさんあります。

日本でビリヤードと呼ばれる競技は大別して2種類。
「ポケッ・トビリヤード」と「キャロム・ビリヤード」です。

キャロム・ビリヤードは「四つ球」や「スリークッション」という種目で、穴の空いていない台を使用してそれぞれのルールに基づき的球に手球を当てることで得点を競うゲームを行ないます。
日本では、20年ぐらい前まではこのキャロム・ビリヤードが主流だったと思います。
アメリカなどでは単に「ビリヤード」といえばこのキャロム・ビリヤードを指すようです。

もうひとつの「ポケット・ビリヤード」が現在みなさんに最もなじみの深いビリヤードだと思います。
各コーナーとテーブルの両サイドに計6コの穴(ポケット)が空いた台を使って、「ナインボール」や「エイトボール」など様々なゲームが行なわれます。

わたしがやっているのがこのポケット競技です。

日本でも映画「ハスラー2」が公開されて劇中でプレイされていたナインボールが流行り、ビリヤードが大ブームとなりました。
あのころはネコも杓子も「ビリヤード」といった感じで、もちろんわたしもハマって当時は友達と毎週末のように出かけては夜中から朝まで何時間も撞いていました。(もっとも今は週に3〜4日は撞いてますが・・・)東京でもかなりの数のビリヤード場やプール・バーが乱立し、あてが無くても街中を少し歩けば球を撞けるところが見つかるって感じでした。
このころから日本でビリヤードと言えば、一般にはこのポケットビリヤードを指すようになり、代表的なゲームがナインボールになりました。

当時は映画を観て大勢の「ビギナー」がビリヤード場に足を運んで好き勝手にプレイしていたので、まともなゲームはなかなか見ることが出来なかったです。(これはわたしも含めてです。)
ビリヤード場もハウスキューなどの道具のメンテなどには手が回らず、しかも客数に対してハウスキューが足りずに、キューを探して店内をウロウロしてる人がいたり、タップの取れたハウスキューを平気で使っている人がいたり(当然まともには撞けてない)、ハウスキューが少々曲がっているのは当たり前なんて状態でした。
それでも週末の夜ともなると、30台以上もあるビリヤード場でも2〜3時間待ちが当たり前でした。

当時はこの映画のタイトルの為に、ビリヤードをする人のことを総称して「ハスラー」と呼ぶと勘違いしている人が大勢いましたが、それは間違いです。当時アメリカなんかに旅行して、ビリヤード場で気取って「あんたハスラーかい」
なんて言ってブン殴られた人もいるんじゃないでしょうか。

ハスラーとは賭けビリヤードなどのギャンブルで弱いフリをして相手をカモってしまう、どちらかと言うと詐欺師とかに近いニュアンスの呼び方です。
映画ではかっこよく描かれていますが、実際はもっとイメージが悪く一生日の目を見ることが出来ない連中です。なにせ映画のように自分が本当は上手いところを絶対に人に見せられないのですから。自分が実は上手いということが相手に知られれば次からカモがいなくなります。
そのため最後まで下手な素人がフロッグで勝ったフリを続けなければなりません。ホントのハスラーは反則だろうとなんだろうと、相手の見ていないところでどんなことでもして勝つそうです。そのため自分がハスラーだとバレれば命だって危険になるので、絶対自分がハスラーだということを人に知られるようなことはしません。
平和な日本では「オレもハスラーやって長いからな」なんてカッコつけて言ってる人もいましたが(たいがいは年に数回遊びで撞く程度のヤツだが)、外人が聞いたら大笑いものです。

アメリカではポケット・ビリヤードは「POOL GAME(プール・ゲーム)」と呼ばれ、日本でも流行ったポケット・ビリヤードの台が置いてある飲み屋を「POOL BAR(プール・バー)」と呼ぶのはこのためです。

この他にもビリヤードと類似する競技に「スヌーカー」というものがあります。競技自体はビリヤードと同じように、キューを使ってテーブルの上のボールをポットして(ポケットに入れて)競うゲームで主にイギリスで人気があります。ポケット・ビリヤードによく似たキュー・スポーツで、ビリヤードの一種としてもいいような気はしますが、イギリスの方はスヌーカーとビリヤードを同じと思いたくはないようです。さすが気位が高い。
ちなみにスヌーカーとは「邪魔をする(確か・・・)」というような意味で、ビリヤードでいうセイフティーが重要な技術となってきます。

○ポケット・ビリヤードの共通ルール○


ビリヤードではそれぞれのゲーム特有のルールがありますが、ここではポケット・ビリヤードの一般的な共通ルールを説明します。あそびでやる場合でもこれらのルールを踏まえてやると、より本格的なゲームが楽しめると思います。なおこのほかにも、その地方やビリヤード場によって様々なローカル・ルールがあります。
また種目によっては採用されてなかったり、その種目用に少し変化している場合もあります。

○バンキング

ビリヤードの正式な試合で先攻後攻を決めるときはこのバンキングで決定します。
(BCAのルールブックによると、バンキングかくじ引き、つまりコイントスで行うとなっているようです)

お互いにヘッドクッション側に立ち、ヘッドストリングスのお互いの領域内(センターラインで分ける)にそれぞれ手球(手球がひとつしかない場合はどちらかが的球を使用)を置き、同時にフットクッションに向かって撞き出し、戻ってきたボールがヘッドクションのラインにより近く停止した方が勝ちになります。
同時といっても厳密にタイミングを合わせる必要はありません。あくまで相手の力加減を参考にしないための配慮ですので、少しぐらいタイミングがズレてもかまいません。
バンキングでファールとなる場合は以下の通りです。

・フットクッションに届かない。
・ボールが2回以上フットクッションに当たる(つまり1.5往復以上した場合)
・ボールが長クッションに触れるか、センターラインを超える。
・ボールがポケットに落ちるか場外する。

以上の状態になった場合はファールとなり、自動的に負けとなります。
普段友達と撞く場合は全然ジャンケンでかまいませんが、もし試合などの正式なゲームに出てみたいと思ったら、バンキングも練習しておくことをお勧めします。いきなりやっても、この力加減って結構難しいもんです。

○着席義務

これはルールとも、マナーとも言える部分なのですが、公式試合ではゲーム中自分がプレイしていない時はかならず所定の席に着席していなければなりません。むやみに立ったりするとOKを出した(そのゲームを相手の勝ちと認めた)ととられて負けになってしまう場合もあります。逆に相手が最後のゲームボール一個になり、そのボールが穴前で、どうやっても外しそうに無いときなどは、席を立ってOKを出すこともあります。(相手を称えるという意味でOKを出します。そういう心境じゃないときは例え残り1球で外しそうな球じゃなくてもむやみにOKを出すべきじゃありません。)

これは普段遊びでやってるときにはマナーの部分もあります。よく相手が撞くときにも、すぐ横に立って話しながら見ている人がいますが、相手に余計なプレッシャーを与えないために座らないとしても台からは離れて邪魔にならないところで見ているようにしましょう。
また相手は気にしていなくても、限られたスペースに多くの台を置こうとするため、ビリヤード場では台間隔が狭い場合が多く、隣の台で撞いている人の邪魔になっているのに気づいていない人が多くいます。
となりで撞いている人に「スイマセン」なんていわれて自分が邪魔していることに気づくのは恥ずかしいことだと思いましょう。

共通のファール

ポケット・ビリヤードの競技では例え的球が入らなくても、規定内のショットをしている限りは、相手にショット権を渡すだけでファールにはなりません。
このように的球が入っても入らなくてもファールにならないショットをセーフショットといいます。

しかし、以下のような場合にはそのショットはファールとなり、各ゲームで定められたペナルティーを受けます。

○的球を撞く

プレイ中に実際に撞くボールは手球のみです。
的球を撞いたりするともちろんファールを取られます。
ただし、バンキングの場合は的球を渡される場合もあるのでこれにはあてはまりません。
また試合でなくても、遊びに来たビリヤード場で的球を撞いて遊んでいる人をよく見かけます。
これはマナーの部分でやめましょう。的球にチョークが付着するとスキットといった、球同士の摩擦によるコースのズレにも大きく影響してきます。
ただ、練習によっては的球を使った方が有効な場合あります。例えば9番以降の帯の付いた的球を使って、ヒネリや押し引きの手球の回転を確認したい場合などです。こういったときはお店のスタッフに許可を取ってから撞くようにしましょう。

○球ざわり

自分の体や物でボールに触れた場合。髪の毛や服などが触れた場合もこれにあたります。
もちろん実際にキューで手球を撞く場合や、フリーボールで相手に手球を渡す等の場合は該当しません。
ただし、試合等の正式なゲームでなければ、髪や服が触れても大目に見て良いと思います。
特に初心者の場合は少々ボールが動いても、お互いの確認で元あった場所に戻すようにすれば良いでしょう 。

○スクラッチ

手球がポケットに落ちてしまった場合。
とうぜんそのままではプレイを続行できないので、全ての種目でファールとされている。

※公式種目ではありませんが、逆転の発想で的球を入れるのではなく、必ずスクラッチをさせることを競う種目も存在します。

○場外球

手球や的球が台の外に飛び出した場合。
ただし、「14-1の的球のみが場外した場合はファールとしない」や「エイトボールの8番が場外した場合は即時負け」など、種目によって処理が違う場合あり。

○ノークッションファール

所定の的球に手球がきちんと当たっても、その後なにかの的球がポケットされるか、的球か手球のどちらかが1回以上クッションに当たらなければファールとなる。

ただし、これも初心者には「ファールだよ」ということを教えてあげれば最初のうちは大目に見てあげていいでしょう。

○二度撞き

一度のショット中に手球を2回以上撞いた場合。
的球と手球の距離が近すぎる場合は、ある程度の厚みで直接的球に向けて手球を撞くと、どんなに気をつけて撞いても必ず二度撞きになってしまいます。
(たとえ二回タップが接しているように見えなくても実際には物理的に2回タップが接しているということが高速度カメラの映像で実証されました)

そのため的球と手球の距離がチョーク1個分以下の時は「プッシュ」のコールをすればファールが適用されません。(コールしなかった場合はファールになります。)ただし「プッシュ・コール」は手球を撞き出す方向の延長線上に他の的球やクッションなどの障害物が無いことが前提です。

また「プッシュ」のコールをした場合、必ず審判(審判が付かない場合は対戦相手)に手球と的球の距離をチェックをしてもらいOKを出してもらいます。
プッシュ・コールをしても確認をとる前に撞いてしまうとコールが適用されずにファールとなります。

プッシュ・コールは日本独自のルールです。
アメリカでは「プッシュ」のコールはシュートアウト(ナインボールのページを参照)する場合に使います。

○キューのタップ以外の部分でボールを撞く、故意にミスキューする

手球を撞くときはキューの先についているタップ以外の部分で撞くとファールになります。
また、手球の端を撞いたりするとタップが滑ってカシャっという音がしてちゃんと手球を撞けていない場合があります。これをミスキューといって、タップ以外の部分が手球に触れていることがありますが、これは故意でなければ、それ自体ではファールにはなりません。(ミスキューした結果、手球がちゃんと的球に当たらないといった場合等、その他のファールが併発すればもちろんファールになります。)
しかし、故意にミスキューさせるとファールを取られます。よく初心者の人がやっている、キュー先を手球の下にもぐりこませるようにしてすくい上げている「ジャンプ・ボール」というのは物理的に先角が手球に当たってしまうので、この故意のミスキューにあたります。

もちろんちゃんとした「ジャンプ・ショット」という技術はあります。あれはキューに角度をつけて、手球をタップと台で挟み込むようにショットし、反動で手球をジャンプさせるショットです。
ビー球を親指と人差し指で挟んで飛ばすのに近い原理で、これはミスキューではありません。

その他キューのおしりの部分(バットエンド)で撞くとかシャフト部分で叩くなどももちろんファールです。
もし試合で故意にそういうことをすると、試合放棄とみなされて負けになる場合もあります。

○スリーファール

多くの競技で採用されているルールで、連続して3回ファールを繰り返すとそのゲームは負けとなるというルールです。
あくまでそのプレーヤーの連続したショットで、ということでその試合内の通算というわけではありません。

例えば、ナインボールで1番を狙ったがスクラッチをし、相手に順番を回した。しかし相手も1番をポケットすることができずに、再度自分に順番が回ってきた。しかしそのショットで1番に当てられずに最初に2番に当ててしまってファール。これで2ファール目です。そして相手がまた1番を入れられずに自分に順番が回ってきたとき、最初のショットでセーフショットで1番をポケットしたが、次の2番で再度スクラッチしてしまった。

この場合2ファールの後、一度セーフショット(的球が入ったかどうかは問われません)をしているのでこの時点でファールカウントはリセットされています。
そのため、次の2番でのスクラッチは新たに1ファール目としてカウントされるのでスリーファールにはなりません。
またスリーファールはゲームを跨ぐことも無いので、ナインボールのセットマッチなどで、1セット目で2ファールのカウントで終わっても、次のセットは0ファールからスタートします。

スリーファールでは対戦相手が2ファールをした時点で、「2ファール」のコールをしなければなりません。
もしコールをしないと、相手が3ファールしても、スリーファールルールは適用されません。
その時点で新たに2ファールをコールし、それを2ファール目としてカウントします。
またコールは相手が2ファールをした後次のショットのストロークに入るまでにかけなければなりません。
実際には相手が2ファールのショットをした時点ですぐにコールするようにします。
このコールは大きな試合で審判がいる場合は審判がコールするのが普通ですが、各ビリヤード場主催のハウストーナメントなどでは対戦するプレイヤー同士が相互審判とする場合が多いので、各プレーヤーがコールすることになります。

また種目によってはその種目独特のスリーファール・ルールが採用されていたり、エイトボールのようにスリーファール・ルール自体が採用されていない場合もあります。

○目標物を置く、道具を使って距離や角度を測る

テーブル上(レール部分も含めて)に目標になるものを置くことは禁止されています。
例えば的球が隠れていて、空クッションから当てるときに手球をクッションに当てるところのレール上にチョークを置いて目印にするなどがこれにあたります。
練習の時はかまいませんが試合の時には気をつけましょう。

また、道具を使って角度や距離を測ることも禁止されています。
ただし、自分がそのとき使用しているキューに限っては、一本だけならそれを使って角度を測るなどしても良いことになっています。
これは必ず手で持っている状態でなければなりません。
そのキューをテーブルに置くなどして、手を離した時点でファールを取られます。


○ボールが完全に停止するまでショットしてはいけない

各的球と手球の両方が完全に停止するまで次のショットを行なうことはできません。
これで気をつけなければいけないのが、移動していなくてもその場で回転しているといったような場合です。
特に手球は帯の柄や数字が書いていない白無地のボールなので、回転していても、一瞬気づかない場合があります。回転を含め、全てのボールが完全に停止しているのを確かめてからアドレスに入るようにしましょう。

○両足が床から離れた状態でのショット

ショットの際は必ず足が床に触れていないといけません。
たまにテーブルのレール上に完全に腰掛けて、両足が浮いた状態で撞いている人を見かけますが、あれはファールになります。
またテーブルの上に寝そべるようにして撞く場合も両足が浮いてしまうとファールです。
レールに腰掛けたり、寝そべるように撞く場合でも、ショットの瞬間にどちらか片方の足でも床に着いていればファールは取られません。
また履物に関しては常識的なサイズ、形状のものという規定がされています。

○他者からアドバイスを受ける等

正式な試合の場合、試合途中に他者からアドバイスを受けることは禁止されています。
その為観客や相手選手とのコミュニケーションも一切禁止されます。
例えば試合途中に観客の中にいる友達に飲み物を買ってきてくれるように頼む場合でも、審判に申告して許可を貰ってから頼むようにします。
もちろん言葉だけでなく、身振り手振りでのコミュニケーションも禁止されています。
もしそういった行為が発覚した場合はその試合は負けになったり、アドバイスした側は退場させられたりします。
そういったことから通常試合中は観客はもちろん相手選手とも言葉を交わすことはありません。

もちろんこれはトーナメントなどのちゃんとした試合中のルールなので、普段相撞きでセットマッチなんかする場合は相手ともどんどんコミュニケーションをとるようにするのが良いと思います。
初心者が上級者と撞く場合は上達を目指し、いろいろとアドバイスを求めるのは正しい姿勢だと思います。
また上級者もアドバイスを求められたら、出し惜しみせずにどんどん正しい知識や技術を教えてあげましょう。

あとは、お互いが人とコミュニケーションをとるための最低限のマナーを守って楽しもうという気持ちがあれば、お互いのビリヤードのレベルがどうであれ、気持ちのいい球が撞けると思いますよ。


概ね上記のようなことに気をつけていれば大丈夫ですが、もし試合に出場するといったような場合は事前にその大会のルールをよく確認しましょう。

また普段友達と遊びで撞く分には「ゴメン!」で済む部分も多くありますが、ビリヤード場はあくまで公共の場なので、世間一般のマナーに関しては十分気をつけて気持ちよく遊んでほしいと思います。
友達同士で遊びに来て居酒屋のように大騒ぎしている人もよく見かけます。楽しむために少々騒ぐ分にはいいのですが、近くの台では真剣に練習している人もいるので、そういう人の集中力を殺ぐようなバカ騒ぎや、大勢で台を囲んで隣の台の人に迷惑をかけるといったことには気をつけましょう。

また基本的に殆どの球屋では「くわえタバコ」でプレーすることは禁止です。灰を落とすとラシャを汚したり、ヘタをするとラシャを焦がしてしまうこともあります。ラシャ張替えの場合、一台数万円の弁償となります。
ああいうのがカッコよく見えるのは映画の中だけです。実際にやってるとみっともないだけなので気をつけましょう。

あと、撞き方をしらない人が形だけマネをして出来もしないマッセやジャンプショットをすることもラシャを痛める原因になります。初心者がラシャを破る原因で一番多いのが、このふざけてやるマッセじゃないでしょうか。
大抵の球屋には「初心者のマッセ禁止」といった張り紙がしてあります。

ジャンプショットはともかく、基本的にポケットの競技でどうしてもマッセを使わなければ取れないような状況というのは殆どありません。
どうしてもやりたい場合は上級者に正しいマッセの撞き方を指導してもらってからにしましょう。

コールショット

現在、日本で一般的にビリヤードというと、ポケットビリヤードでゲームはナインボールを思い浮かべる人が多いと思います。
また、ナインボールはやったことがある、あるいはゲームとしてはナインボールの(公式ではなくても)ルールならある程度は知っているという人も多いのではないでしょうか。

その為かどうもビリヤードというと、最初に手球を小さい番号の的球から当てていくのが普通だと思っている人が多いようですが、実はこのように完全に最初に当てなければいけない的球が決まっているゲームの方が少ないのです。
というか私の知っている範囲では、「ナインボール」と「ローテーション・ゲーム」ぐらいしか知りません。
(私が知らないだけで、他にもあるかも知れませんが。)

その他の多くのゲームでは「コールショット」で行うことが多いようです。
エイトボールなんかもやる人は最後にゲームボールの8番を狙う時にどのポケットに入れるかを指定していると思いますが、あれが「コールショット」です。
ただ試合でもなければ大体がゲームボールの8番のみをコールショットとして、自分のグループボール内の的球に関してはコールは無しで狙ったポケット以外に入ってもOKとしている場合が多いと思いますが、正式には自分のグループボールや、ブレイク後のテーブルオープン状態のショットに関しても全て「どの的球をどのポケットに入れる」というコールをします。(ブレイクは除く)

ゲーム固有のルール(14.1のブレイクを含め全てのショットや、エイトの自分のグループボール内で等)によっても狙えるボールの範囲などが変わってきたりもしますが、基本的に「コールショット」とは「このボールをこのポケット」に入れると宣言するショットで、「好きなボールから狙ってよいが、フロッグイン(まぐれ)はダメですよ」というルールです。
実はプールゲームではこっちが普通だったりします。

初心者でナインボールしかやったことが無い人は、「宣言どおりにポケットしなければならない」、「フロッグインはダメ」と言われると結構厳しくまた難しいルールのように感じるかもしれません。
実際、初心者のナインボールでは「まぐれ」で入ることの方が多かったりします。
しかし、 少しでも球を撞けるようになってくると、実は「まぐれ」で入ることは殆どなくなってきます。
ポケットインする場合は殆どがちゃんと「狙ったとおり」に入るものなのです。
自分が入れやすい、あるいは自分にとって都合がいい的球から自由に狙えるわけですから、(エイトのように範囲が限定されてる場合もありますが)ちゃんと球を撞ける技術を持った人にとっては、コールすることは大して苦にはならないのです。
ただ、自分がミスをした時の保険(まぐれで他のポケットに入る、あるいは他の的球が入る)が効かないだけの話です。
それより、ナインボールのようにどんな配置であろうと自分が最初に当てなければいけない的球を決められている方がよほど難しいのです。
難易度が高いからこそ、ナインではフロッグインが許されているのだと思います。
初心者の人が上級者とエイトボールをやるときに「じゃ、ハンデとしてオレは正式に自分のグループボールはコールショットでやるから、君はコール無しでいいよ」なんて言われても、それは上級者にとっては殆どハンデになってないので、騙されないようにお気をつけください。(笑)

コールのしかた

コールショットでは、基本的に自分がショットをする前に「ポケットに入れる的球」と「入れるポケット」の指定をします。
「7番をコーナーへ」といった具合です。
この時どのコーナーポケットかをキューや指で指し示したり、あるいは自分が向いている方向が明らかにそのポケットを狙っていると相手に分かるようにします。もちろん正確に言葉で表現しても構いません。(サイドポケットの場合も同じです。)
実際にショットする前であれば、一度コールをかけた後、気が変わって違う的球やポケットをコールし直しても構いません。
もちろんショットしてしまった後は変更は出来ません。

上の方でコールショットではフロッグインは認められないと書きましたが、実はコールショットでもフロッグインが認められる場合が存在します。
それは実際に自分が考えたとおりにはならなかったが、結果的に指定した的球が指定したポケットに入った場合です。
例えば「直接フット側のコーナーポケットに狙った5番がポケットの角に蹴られて外れたが、弾かれた5番がテーブルをぐるっと回ってきて結局そのポケットに入った」といった場合などです。
これは自分が考えていたとおりではないのでたまたま入ったに過ぎないのですが、結果的に指定した的球が指定したポケットに入っているので有効になります。

つまりコールショットとは入れる的球とポケットを指定するだけで、その過程を指定しているわけではないということです。

その為、5番に手球を当ててその後コンビで7番をコーナーポケットに入れるような場合でも「7番をコーナー」と指定するだけでよく、「5-7のコンビで」といったような過程に関するコールは必要ありません。
もちろん自分がしたければ、してもかまいませんが・・・

通常コールショットで指定できるのはひとつの的球に対してのみです。
その為、指定どおりに的球が入った上で他の的球が入った場合はそのゲームのルールによって同時に得点になったり、ファールになったりといろいろなパターンがあります。
ただ、基本的に一度のショットでコールできる的球はひとつのみです。

ジェントルマンズコール

実際のゲーム中ではコールショット・ルールであっても、必ず(口に出して)コールするとは限りません。
それは、誰が見ても「この的球を直接このポケットに入れるように狙っているのが明らかに分かる」という場合です。
そういった場合は実際にコールをしなくてもそのショットは有効となります。
それが「ジェントルマンズコール」と呼ばれるものです。

実際にコールしていなくても、 あくまで「紳士的にその人を信用して」という意味合いのものなので、コールショットルール自体が免除されているわけではありません。

気をつけなければいけないのが、ジェントルマンズコールでは先に書いたようなコールショットによるフロッグインが認められません。
つまり、外れた的球が台を一周して指定したポケットに入ったり、コースは微妙に外れたが穴前にあった他の的球にキスして入った場合などはミスになります。
もし何らかの事情で、そういった可能性も期待しているのであれば、ちゃんと通常のコールをしておきます。
そうすれば上記のような場合でもポケットインが認められます。

また、例えば穴前に即死コンビがあって、誰が見てもそれを狙っているのが明らかな場合でもコンビネーションで的球を入れる場合は通常どおりコールが必要です。

その他のキスショットやキャノンショット、バンクショットなども同様です。

ジェントルマンズコールが認められるのはあくまで手球を当てた的球を直接ポケットに入れる場合のみです。

ジェントルマンズコールは必ず使わなければならないものではないので、コールショットに慣れるまでは簡単な配置でも必ずコールするほうが良いかもしれません。

必ず座布団は使うべきか?

座布団と言っても笑点の話ではありません。(笑)

ビリヤード場に行くと、各テーブルの上にチョークと小さなラシャの切れ端が置いてある場合があります。
このラシャの切れ端が座布団と呼ばれるもので、ブレイクショットの際に手球の下に敷きます。

なぜブレイクの時に手球の下に敷くかというと、ナインボールなどのハードブレイクをいつも同じ位置から撞いていると、その部分のラシャに強い摩擦がかかり消耗が激しくなるためです。

しかし、これはルール上の規定ではありません。
当然プロの試合などを見ていても座布団を使っていたりはしません。
というか、この座布団は日本の一般の球屋のみの風習だと思います。
海外のビリヤード場では見かけないと思うのですが、どーでしょう?

ハードブレイクによってその部分のラシャの消耗が激しくなるとしても、それは規定内の正当なショットによるもので、それによって生じた消耗は店側のメンテナンスの範疇と言えます。

(ブレイク時だけとしても)座布団を敷いていれば、たとえ僅かとはいえ手球のコースなどに影響が出ると思います。

ジャンプショットが苦手という人は、手球の下に座布団を敷いてショットしてみてください。
比較的簡単にジャンプショットが出来ると思います。
つまり座布団のクッション効果により、ブレイクショットではありがたくない手球のトビが大きくなる可能性があるという事です。

またブレイクで散った的球が座布団の上を通れば、やはり僅かでもコースに影響が出ると思います。

ブレイクした後、まだ的球が走り回っているうちにテーブルからすばやく拾い上げている人も結構いますが、あれではブレイクのフォロースルーが完全に終わる前に拾い上げるための行動に移らなければならず、ショットが中途半端になってしまいます。
また拾い上げている手に的球や手球が当たってしまえばファールです。
というか、ボールが走り回っているテーブルの上に手を出すこと自体が・・・

大体、手球を置くところだけに座布団を敷いたところで、ブレイクの時はシャフトがグニャっと曲がってしまうぐらい激しくラシャに擦りつけるように撞く人もいるし、手球が一番激しくラシャに衝撃を与えるのはインパクトの瞬間だとしても、その後ある程度の衝撃は1番にヒットするまで続くことを考えると、ラシャの保護という意味ではあまり効果がありません。

座布団を使っていても、ラシャにブレイクエリアの長クッション側からフットスポットへ向けて白い筋がついてしまっているのを見れば一目瞭然です。

つまり座布団というのは、店側の都合でプレイヤーに規定外の制約を設けて、プレイに(たとえ僅かとは言え)影響を与えているのに、その効果は大したことが無いということです。
わたしはホームで撞く時は座布団つかってません。
ホームのスタッフのコも「あ、使わなくていいっスよ!」って言ってたし。
実際、スタッフと撞くときも使ってません。
なんか座布団使ってブレイクすると気持ち悪いです。

ただ、はじめて行く球屋さんなどでは一応礼儀として座布団が置いてあれば使ったほうが良いでしょう。
ホームにしているところで常連になったとしても、今まで使っていた場合は店員にちゃんと理由を話して同意をもらってから使用を止めるほうが良いでしょう。

もちろん使いたいと言う人は使ってあげたほうがお店にとっては親切だとは思いますし、使ってあげてください。

でも以前、くわえタバコで座布団を敷いている人を見たときはちょっと笑ってしまいました。
習慣だけが広まって、理由が理解されていない証拠です。

また、中には座布団の使用を義務付けている店もあると聞いたことがあるのですが、 さすがにそれはやり過ぎだと思います。
きつい言い方をすればそれこそ店側の怠慢だと思います。
「撞き方をマスターしていない人のマッセ」や「くわえタバコ」とは禁止する目的は同じでも全く意味合いの違うものです。
これに関してはお客さんの協力をお願いするという方がいいと思います。

戦略の上で行なう故意のファール

ビリヤードでは戦略上、故意にファールショットをして状況を変えるといった場合があります。
セーフショットを行なおうとすると、かえって自分が不利になる場合です。

例えばナインボールのセットマッチなどで相手がこのゲームを取れば勝ちといった状況で相手が1番で厳しいセーフティーをかけてきたとします。どう見てもこの手球の位置では1番を入れるどころか当てることすら厳しい。
コーナーポケットを見ると9番が穴前で殆どポケットに入っている状態、ここで1番にセーフを取りに行って当てられずにファールになり、相手にフリーボールを渡してしまうと 1-9の即死コンビで自分の負けが決定的。しかしこの状況では有効なセーフショットの手段が無いといった場合どうしたら良いのでしょう。

例えば上図のような配置になったらお手上げ状態です。
これではプロでもセーフを取るのはほとんどムリなんじゃないでしょうか。

そこで、こんな場合はわざと1ファールをしてでも自分で穴前の9番を直接落としてしまえばいいのです。
この手球の位置からなら9番をポケットすることは可能です。

現在ナインボールで主流のテキサス・エキスプレスルールでは、他の的球がファールでポケットされても台上には戻しませんが、ゲーム・ボールの9番だけはフットスポット上に戻します。
9番が穴前からフットスポットに移動すれば、例え相手にフリーボールを渡してもその時点で即死コンビは無くなっています。
少しでも戦況は良くなっているわけです。もちろんこの前に2ファールをしていたら意味ありませんが・・・

もちろんそうしたからといって、自分が勝てるかどうかは分かりません。
フリーボールを渡してしまえば、相手は残りを取りきってしまうかもしれないし、上記の結果2ファールになれば、相手は再びセーフティーをかけて3ファールを狙ってくるでしょう。しかし相手も人間です。即死コンビよりは取りきる可能性の方が低いはずだし、セーフティーをかけてきても失敗するかもしれない。
そうすればもう一度自分がキューを握るチャンスが訪れるのです。少なくとも次の相手のワンショットで自分の負けが決定してしまう確率はかなり下がるはずです。

ただし、これは上記のように明らかに戦況を良くするための意図が見られる守備と言えるモノで、ちゃんとしたビリヤードの技術を使ったショットであるために認められるわけです。(もちろんファールは取られますが)

言葉としてはちょっと変ですが、自分が勝つ確率を上げるための「正等なファール」であり、卑怯な「反則行為」では無いということです。

同じようにファールをするとしても、ヤケクソになってキューや手で台上のボールを引っかきまわしてメチャクチャにするなどは、試合放棄とみなされてその時点で負けとなってしまうでしょう。
これはビリヤードの技術を使っていない稚拙な「反則行為」になるわけです。

このようにビリヤードでは戦況を有利にする故意のファールと、反則行為とは違うものだと考えるのです。

ただし、これは真剣勝負の試合などで行うから相手にも高いレベルで理解してもらえるのであって、友達と遊びで撞く場合はそこまで勝ちに固執するとイヤがられるかも知れませんね。

故意のファールもTPOに合わせて行うのが良いでしょう。(笑)