tip

Tip(タップ、ティップ)

 

キュー先に付いている小さな革がタップ(英語ではティップと発音)です。
撞く際に実際に手球に触れる大切な部分です。

基本的には牛や豚などの天然皮革を材料として使っていますが、製法の違いによって幾つかのタイプがあります。
大別すると、革を細かく繊維状にしたものをタップの形に固めた「ファイバータイプ」と呼ばれるもの、一枚の厚い皮をタップの形に成型した「一枚革タイプ」、薄い皮を何層にも重ねて成型した「積層タイプ」の3種類で、それぞれに一長一短があります。
また最近はブレイクやジャンプ用に開発されたベークライトなどの樹脂製タップも人気があります。

その他にも幾つか特殊なタイプが存在します。

プライベートキューを持った場合、唯一このタップの部分だけは、日常の調整が必要になってきます。
特に一枚革タイプは撞いているとタップの側面が膨らんくるので、その場合その部分をカットして成形し直す必要があります。
積層タイプの場合は一枚革のように側面が膨らんでくることはあまりありません。
積層タイプでは側面にツバをつけて紙やすりの裏(他の固い紙や革のようなものでも構いません)などで磨くことで艶がでて綺麗になり、タップも締まってきます。
鼻の脂をつけて磨くなんて人もいます。どちらにしても動物性の油分が含まれているほうが良いのだと思います。
ツバでは汚いといって、普通の水をつけるのは良くありません。タップは革製品ですので。

ブルーと呼ばれるファイバータイプでは、よく側面に油性のマジックを塗る人を見かけます。
これは恐らくタップ内部に湿気が侵入するのをなるべく避けるためだと思いますが、私はファイバータイプは使わないのでよく分かりません。

どのタップでも上面にアールをつけますが、これも撞いていると変形してくる場合がありますので、その場合は適度なアールに調整し直します。

先角を保護するために、タップと先角の間に「座」と呼ばれる薄い皮を一枚挟む人もいます。
特に先角が象牙で出来ているキューを使っている人なんかに多いのではないでしょうか。
象牙は貴重で高価ですから・・・

わたしはメンドクサイので座は付けてません。
先角も象牙じゃないし・・・
あと、座を付けた場合、撞いた感触が若干ぼやけるらしいです。(わたしは使ったこと無いのでわかりません)
撞感がぼやけるとイヤなので、先角が象牙になっても多分わたしは付けません。

タップは消耗品ですので、ある程度使えば交換する必要があります。
タップを販売しているビリヤード場であれば交換もしてくれると思いますので、最初はそういったところを利用すると良いでしょう。
ただ、 余程不器用な人でない限り慣れてしまえばそんなに難しい作業ではないので、自分でも交換出来るようにしておく方が便利です。
大事なのは最初にお店の人や上級者に正しい作業の仕方を教わることです。
刃物も使いますので、ちゃんとした作業方法を身につけてないとケガしたりして危険です。
最初は出来る人にそばについてもらってやるのがベストです。


現代のビリヤードにおいて、押し球や引き球、ヒネリを加えるなど様々なショットが可能になったのはこのタップとチョークが開発されたためと言えるでしょう。

そのためプレイヤーが自分のショットに合わせて拘る部分のひとつです。
キューのパーツの中では交換が容易で、タップの種類や硬さを変えることで、比較的容易に自分の好みの打感や特性を得ることが出来ます。
逆にタップが合っていないと、どうもショットに違和感が残り、思ったように撞けなくなったりします。
これは自分のショットを確立しているプレイヤーほど顕著にでることなので、上級者ほど自分が使用するタップにも拘るといえるでしょう。


実際にビリヤード場などで販売しているタップのコーナーを見てみると、実に多くの種類があることが分かります。
タップ自体は1個100円〜1,500円程度と値段はピンキリですが、そんなに高価なものでもないので、自分のショットやキューの特性がつかめてきたら色々なタップを試してみて自分にピッタリと合うタップを探してみてください。

積層タイプや一枚革タイプの中には、その硬さによって数種類の製品が用意されています。
大抵はS(ソフト)、M(ミディアム)、H(ハード)といった3種類程度のバリエーションが用意されています。
ファイバータイプでは、基本的に各製品で硬さの種類は一種類のみだと思いますが、これを締めて(圧縮して)硬くしたものが販売されたりしてます。

人気のある製品としてはブランズウィック社のブルータップを締めた「ブルー10t 締め」と呼ばれるものがあります。

一般的には、硬目のキューには柔らかいタップ、柔らかいキューには硬目のタップと言われていますが、実際には自分のショットや好みによってといった部分の方が大きいと思います。
いろいろな硬さで試してみて自分の好みに合うものを探すのが良いでしょう。

硬いタップはハッキリした打感で、キュー切れが良いです。
反面、球離れが早いためインパクトのタイミングを合わせるのはシビアになってきます。
また撞点もシッカリ合わせていく必要があります。

柔らかいタップは手球に接触する時間が稼げるので、誤魔化しがきくと言えるでしょう。
反面、打感としては少しボヤけた感じになり、切れも落ちます。

個人的には硬めのタップの方が、タイミングはシビアですがインパクトの瞬間が捉えやすく、打感も好みです。

あと、ブレイクやジャンプ用のキューには硬いタップを付けることが多く、専用のかなり硬いタップも用意されています。

わたしはプレイ用に積層タイプの「モーリタップ(M:ミディアム)」、ブレイク用にはMezzのブレイク用タップで「PI」というタップを使用しています。上の写真の左がモーリタップで右がブレイク用のPIタップです。

※プレイキューをTADに変えてからはモーリの(Q:クイック)を使用しています。

(プレイキューとブレイクキューのタップの違い)

現在のようにポケットビリヤードでナインボールが主流になって以来、ブレイクショットの重要性が見直されるようになってきました。
プロの中でもナインボールの勝敗の70〜80パーセントはブレイクで決まると言う人がいるぐらいです。
確かにトッププロであれば、ブレイクで1個でも的球が入り初球の取り出しが良く、配置にトラブルが無ければ80〜90パーセントぐらいはマスワリ(ブレイクから9番までを一人で取りきってしまう)を出してしまいます。

少し前までは、ナインボールのハードブレイクでプレイキューを壊してしまわないようにという意識で、新しいプレイキューを買うと、お古をブレイクキューにまわすと言う人が多かったのですが、最近はアマチュアにもブレイクの重要性が認知され始めているので、ブレイクショットに特化したキューを買い足すと言う意識の人が増えています。
各メーカーでもブレイクに特化した特性をもったキューの開発が盛んに行われています。

個人の好みにもよりますが、タップもブレイクやジャンプショットを行うときに適したタップは硬いものが良いと言われており、 ブレイク/ジャンプ用のタップが幾つかリリースされていて通常のプレイでは使えないような硬いタップに仕上がっています。

そのショットの特性からプレイ用とブレイク用ではタップの形もショットに合わせた形状に仕上げます。

写真はわたしのプレイキューとブレイクキューのタップの状態で、(写真がボケててすいません)左がプレイ用、右がブレイク用です。

タップ先端の丸みとタップの厚みが違います。
ブレイク用は積層タップでいうと革2枚分ぐらいの厚さで、アールはかなり緩く仕上げてます。

プレイ用では、手球に押し引きやヒネリといった様々な回転を与えるため、手球の端など色々な部分を撞きます。
その為、タップには球体の端を撞いたときにもタップと手球の接触面積を増やすために適度なアールをつけます。
このアールは一般的に10円玉などのコインの外周と同じアールに仕上げると良いと言われています。

一方、ブレイク用のタップはプレイ用より緩いアールをつけています。
これは通常ナインボールなどのハードブレイクでは、手球の中心を撞くのがセオリーだからです。
正確に手球の中心を撞き、1番に100パーセントの厚みで当てることで、ラックを綺麗に割り手球を台の中央付近に止めるようにします。

 

左の図は平らなタップと丸みのついたタップの接触面積の違いです。

Aのように手球の端を撞いた場合、タップに丸みのある方が、手球との接触面積を稼げます。
これにより手球の端を撞いたときにミスキュー(手球を上手く捕らえることが出来ず、キュー先が手球の表面を滑ってしまう状態)を防ぐことが出来ます。

しかしBとCのように手球の中心を撞く場合はタップが平らな方が接触面積が広くなります。

ハードブレイクでは手球の中心以外を撞くことが無いため、アールをつけない方がタップと手球の接触面積が増えるため、キュー先が少しズレても手球の中心を外しにくくなるわけです。

ただし実際には図のようにまっ平らではなく幾分かはアールをつけますが、プレイキューよりゆるいアールに仕上げている人が多いようです。

ただし、これも個人差があるので、アールがついていたほうが撞き易いという人もいます。


またブレイク用のタップは厚みもプレイキューに比べて薄く仕上げます。

タップは革で出来ているため当然クッション効果があります。
ブレークショットではこのクッション効果を減らしてショットパワーの伝達ロスを極力無くすためです。

逆に通常のプレイ中のショットではブレイクほどハードなショットを必要とはせず、タップと手球の接触時間をなるべく長くして手球に十分な回転を与えたいため、このクッション効果を利用します。
そのためブレイクキューよりも厚く仕上げているわけです。

上の写真ぐらいの違いで効果があるのかという感じもしますが、実際に撞いてみるとその違いを実感します。

このように、自分のショットやキューに合うタップを探したり、いろいろな形状を模索するにも、自分でタップ交換が出来るようになった方が便利で安上がりです。

いずれこのサイトでもタップの交換方法を紹介したいと思います。


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